無職転生16話「親子喧嘩」&17話「再会」 感想

無職転生17話「再会」視聴しました。

原作WEB版のみ既読です。

良かった…。

 

前回16話「親子喧嘩」感想では世界観を中心にまとめました。

パウロ&ルディー周りの感想は書かなかった。

パウロ&ルディー周りに関して、16話も含めて感想を書いていく。

 

目次です→

 

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キャラクター

関係性をまとめるとこんな感じ。

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この記事で最も伝えたいのはこの緻密な人間関係である。

複雑な関係性を16話、17話だけで見せてしまっているのが、

本当にすごい。

 

今回出てきたキャラクターは大きく分けて3つに整理できる。

親子喧嘩の渦中の人物。

パウロとルディーである。

子供であり、主観的に問題を見て、それぞれの心の支えになる存在。

エリスとノルンである。この二人は、対比的に描かれていた。

大人であり、俯瞰的に問題を見て、それぞれに助言をする存在。

ギース、ルイジェルド、マスターである。

 

詳しく、それぞれのキャラクターについてまとめる。

 

 

ルディー

落ち込んだり、拒絶したりされると、内にこもる。

本心をあまり喋らず、外面は温和な表情で、丁寧な口調で喋る。

拒絶するほど、温和で丁寧な口調になると思う。

行動するよりも、頭の中でグルグル考えちゃう人だと思う。

 

ルディーにとってのパウロは対等な友達である。

第四話のセリフを抜粋。

 

ルディー「浮気をして家族崩壊の危機を作り出す男がカッコイイのですか?」

ルディー「ま、あれに懲りたら母様以外に手を出すのは控えてください。」

パウロ「リ、リーリャは良いだろう?」

ルディー「次は母様が無言で実家に帰るかもしれませんねー。」

パウロ「お前も男なら分かるだろ。」

ルディー「7歳の子供に何が分かるというんですかー?」

パウロ「お前だってシルフィーちゃんに唾つけてるじゃないかー」

パウロ「あの子は将来美人になるぞー」

ルディー「そうでしょうねー。今のままでも十分かわいいと思いますが」

パウロ「分かってるじゃないかー!」

ルディー「まあね」

 

パウロは屑野郎だけど、なんだだかんだ言って話があう。)

(俺も精神は40歳を超えた元ニート。正真正銘の屑だしな。)

 

明らかに親子の会話ではない。

完全に男友達どうしの会話である。

修学旅行でベッドを囲んで話すノリである。

特にルディーはパウロのことを、父親というよりは悪友として見ている。

ルディーはパウロのことを対等な存在として見ている。

 

ルディーにとって、今回の仲違いは、

親子喧嘩ではなく、同年代の友達との喧嘩という意味合いが強い。

17話で回想したのが、前世の親ではなく友人であることからも分かると思う。

 

17話で仲直りした後の会話も完全に男友達とのそれである。

未だ解決されていない捻じれである。

 

ルディーにとってエリスは守らなければいけない存在である。

魔大陸では、エリスのためにお金の心配をして一人で苦しんでいた。

 

同時に、エリスは心の支えでもあったと思う。

元気で無邪気なエリスが傍いなかったら、

ルディーはもっと精神的に苦しんでいたかもしれない。

16話ではルディーを慮って、慰めてくれた。

 

 

パウロ

捜索団をまとめ上げるカリスマ性がある。

女たらしであるという欠点がある。

腕っぷしが立つが、精神の強さは普通の人間と変わらない。

(多分ゼニスの方が、精神的には強い人間だと思われる。)

 

パウロにとってのルディーはこんな感じである。

 

教えていないのに文字を覚え、中級魔術を唱えた。

5歳で水聖級魔術を取得。

3話では、自分の父親としての欠点を諭される。

4話では、問題が何かを分かったうえで的確に原因を取り除いた。

パウロ一人では解決できなかっただろう家族崩壊の危機から救った。

 

ずっとルディーの天才さを間近で見てきたのである。

いままで、ルディーは自分よりも上手くやってきた。

これで期待するなと言うのは酷であろう。

 

それでも、自分はルディーの親なんだと自覚している節もある。

3話を見てもらえれば分かると思う。

親としてルディーにどう接するべきかで、

四苦八苦しているパウロが見られるだろう。

パウロはちゃんと親をしている。

 

パウロはルディーを自分の子だと思っているが、

接し方は、信頼している仲間に対してのものに近い。

パウロにとって初めての子がルディーである。

だから、ルディーとの接し方で間違えても仕方ない。

今回このような態度をとったのは、

追い詰められていることや、酒のせいもあると思う。

ルディーは、ギースの様な対等な仲間ではなく、

ノルンと同じ自分の子供であるというのがスッポリ抜けてしまっていた。

 

パウロにとってのノルンは守るべき存在である。

ルディーの様に才能がある訳でもなく、小さくかよわい。

自分が父として守らなくてはと思っていたに違いない。

 

同時に、ノルンは心の支えでもあったと思う。

見つかっている、たった一人の家族である。

ノルンがいたからこそ、父親としてしっかりしなきゃと、

しんどいのを理性で抑えて、捜索団を組織していた。

ノルンがいなかったら、パウロはもっと悲惨なことになっていただろう。

 

 

エリス

無邪気、無鉄砲。

ルディーの見方。

 

エリスは、ずっとルディーに助けられてきた。

ルディーの頑張りを、ずっとそばで見てきた存在である。

ルディーに感謝し、尊敬している。

 

だからこそ、頑張ってきたルディーを傷つけたパウロを許せなかった。

 

ルディーとパウロが仲直りした後、納得はしていなが、

「一応許してあげるわ!」という感じで「ふん!」とそっぽを向いた。

 

昔のエリスは絶対に許せなかっただろう。

ここで許せるのは、少し大人になった証拠だと思う。

 

ノルン

無邪気。かよわい。

お父さんの見方。

 

ノルンは、ずっと父に助けられてきた。

父の頑張りをずっとそばで見てきた存在である。

父に感謝し、尊敬している。

 

だからこそ、頑張ってきた父を傷つけた兄を最後まで許せなかった。

 

ルイジェルド

子供は絶対守る。戦士は認めて信頼する。

ラプラスの槍に操られて、自分の息子を刺し殺した経験がある。

 

ルイジェルドはルディーを戦士として信頼している。

一人の独立した人間として見ている。

だから、今回の親子喧嘩は当人同士が解決すべき問題だと思っている。

また、周りが解決したところで、ずっと原因は残り続けてしまう。

周りが干渉しすぎるのは良くないと考えているのだろう。

俯瞰した目線から二人を眺めている。

 

ルイジェルドは父親の経験があるので、

父親なんてそんなもんだという発言も実感がこもっている。

その理屈が通るのは子供が生きている時だけだという発言も重い。

 

ギース

パウロの元仲間。

コミュ力が高い。

 

問題を俯瞰した視点から見ている。

パウロの話を聞いてあげる。

 

天才と言ってもまだ子供である。

ルディーも背負うものもいっぱいあっただろう。

お前は子供に期待しすぎだ。

パウロに助言する。

 

マスター

状況を俯瞰した視点から見ている。

相手をちゃんと見てあげろと、ルディーに助言する。

 

 

ドラマ

今回のドラマをまとめるとこんな感じである。

パウロは、ノルンを守りながら旅をした。

ノルンは守るべき存在であると同時に心の支えでもあった。

父親として頑張っていたが、いくら探しても家族が見つからず、

ストレスから酒を飲み、徐々に荒れて行った。

そんな中で、ルディーと再会する。

パウロは、ルディーを対等な仲間として扱っていた。

しかし、自分の思った通りに動いてくれていなかったので、

ルディーを傷つけるようなことをしてしまった。

ギースにルディーは子供に期待しすぎているという助言を受けた。

守るべき存在のノルンの寝顔を見て、

ルディーも同じように守るべき存在だったのかもしれないと反省した。

子供なのだから、間違っても仕方がなかったのだと理解した。

水面に映った自分の姿を俯瞰して見て、

確かにこれは、縁を切られても仕方のないダメな顔だと分かる。

酒を断ち、ひげをそって、明日ルディーに謝ろうと考える。

翌日、ルディーと本当の意味で再会し、和解した。

子供のように泣き、「会いたかった」という本音を言う事が出来た。

 

ルディーはエリスを守りながら旅をした。

エリスは守るべき存在であると同時に心の支えでもあった。

お金を心配したり、ルイジェルドとの関係性に悩んだりと、

始めはかなり精神をすり減らしていた。

しかし、ルイジェルドに認められてからは、旅も順調であった。

そんな中で、パウロと再会した。

パウロの言葉と周りの空気により傷つき、内に籠ってしまった。

自分もあの時は冷静じゃなかったし自分にも悪い所があったと反省して、

翌日謝りに行こうと考えても、体が拒否反応を起こしていた。

翌日、パウロがルディーに会いに来てくれた。

ルディーは決してパウロを見ようとしなかった。

マスターのおかげで、パウロの顔を見る。

パウロの顔を見て、前世の自分を思い出す。

自分の友人に対して、

自分は苦しいのになんでこいつは暢気なことを言っているんだと、

相手の立場や気持ちを考えずにキレてしまたことを思いだす。

パウロも同じなのだろうと、俯瞰した目線で見ることができた。

パウロも自分と同じ一人の対等な人間であるのだと。

ましてや、自分の方が年上である。

ならば、仕方がないじゃないか。

自分は結局謝りに行けなかった。

パウロは謝りに来てくれた。

ならば、まだやり直せる。

お互い大人になって、やり直そうと提案した。

本当の意味で再会することができた。

 

他人の助言によって、冷静になる。

大人になって、俯瞰して、自分と相手を見つめる。

相手の立場を理解して、自分の非を認める。

お互いを許しあい、本当の意味で再会する。

この丁寧なプロセスが凄い。

 

表現

目が合わない(16話)

16話でパウロは再会を喜ぶセリフを一応言っている。

しかし、俯き加減で目を合わさずにしゃべっている。

16話を見ると、視線を丁寧に描いていることが分かる。

ルディー視点のパウロは視線を背けていることが多い。

攻めたり煽ったりするときのみ、ルディーを見つめる。

ルディーに向けるのは攻撃的な目線だけであった。

自分のことばかりで相手を慮れていないことが分かる。

 

すれ違い(16話)

パウロはザントポートの張り紙を見ていなことを責めた。

ザントポートは獣族の子供を救った港町である。

実は、ルディーはウェンポートに到着するまでの話しかしていない。

ウェンポートはキシリカと出会った港町である。

ルディーはザントポートに足を運んだと同時に、

獣族の村に連れ去されてしまっている。

よって、ザントポートでギルドに寄って張り紙を見つけられるはずが無いのである。

 

ルディーは魔力災害の爆心地にいた。

だから、規模が大きいということに思い至らなくても仕方がない。

パウロは、ルディーには規模を知る由もないことに気が付かない。

自分も気が付いたのだから、ルディーだって気が付けると思ってしまっている。

 

元々、パウロはルディーを対等な存在として信頼しすぎていた。

お互いに、相手を慮る余裕が無かった。

出会い方も最悪だった。

その結果、お互いに自分が!自分が!と言う風に、

お互いに相手の立場を理解しようとしなかった。

相手の話を聞こうとしないかった。

それが、このすれ違いの原因だと思う。

 

 

17話OP

今回は、世界観の説明ではなく、時間的な説明であった。

OPはこういう使い方も出来るのか!

色んなOPの使い方を見てみたい!

 

魔力災害が起こった後の、ノルンとパウロを描いていた。

基本的には、ノルン視点のパウロが描かれていた。

 

凛々しいパウロの顔をノルンが見つめている。

パウロが自分を守ってくれているというのを何となく理解しているように見える。

たどり着いた故郷は、何もない一面荒野。

ノルンがパウロを見る。

パウロは口だけが映っていて、きゅっと口を結ぶ。

このシーンが凄い好き。このシーンはノルン視点だと思う。

子供だから状況は理解できないが、

パウロの苦しみと、ノルンのために気丈に振る舞わなきゃという感情を、

肌で感じているように見える。

そっから、どのように捜索団を組織して行ったのかが描かれていく。

おそらく、これもノルン視点で描かれていると思う。

どんどん人を集めて捜索団を組織した。

何人も助けた。感謝もされた。でも、家族は見つからない。

時間が経つにつれて、見つかるのは生存者よりも死者の方が多くなっていく。

家族はもう皆死んでいるのかもしれない。

もしかしたら、生き残ったのは自分とノルンだけかもしれない。

どんどんとやつれていくパウロを描いていく。

 

ノルンは頑張ってくれるお父さんの為に花の首飾りを作る。

無邪気なノルンを見てパウロも少しだけ、癒される。

ノルンという存在が心の支えとなる。

蝋燭と花が映る。

しかし、慰めは一時的なもので、

時間とともに蝋燭の火は消え、花は枯れてしまう。

ノルンによってなんとか保ってきた精神も限界である。

このシーン、16話のエリスがルディーを慰めるシーンと対になっている。

こっちのシーンも同様に蝋燭が映る。

エリスとルディーの関係と、

ノルンとパウロの関係が非常に似ていることを暗示している。

 

父はどんどんやさぐれて行く。

ノルンはどんなときも変わらずに、天真爛漫に父に接する。

ノルンという純粋な視点から現実を描く。

この残酷さ。罪深さ。いたたまれなさ。

背中から脳天にかけてぞくっしたものが走った。

にくい演出だ! 最高だ!

 

蝋燭(16話、17話)

16話、17話合わせてかなり蝋燭の描写が多かった。

 

16話、エリスがルディーを慰めるシーンで、

ユラユラと揺れている蝋燭が最後に映る。

蝋燭の光によってロマンチックな雰囲気を醸し出している。

同時に、蝋燭は生命を連想させられる。

エリスに慰められ、少しだけ精神が回復したルディーを表しているのかもしれない。

 

17話OPで、蝋燭の火が消え、ノルンがプレゼントした花が枯れるという描写がある。

このシーン悲しくって思わず「うわー…」という声が出てしまった。

時間経過を表す以外にも意味がありそう。

花も、蝋燭の火もどちらも生命を連想させられる。

精神をすり減らしていったことを表しているのだろうか。

また、花も蝋燭もどちらも移ろいを表す。

パウロが変化して行ったことを表しているのかもしれない。

 

17話OPの蝋燭描写は16話の蝋燭描写と対になっている。

パウロにもルディーにもエリスやノルンといった心の支えがあった。

しかし、エリスやノルンによる慰めも一時的なもので、

問題の原因を排除するか、自分の中で納得できなければ、

いずれ、限界が来る。

 

17話、ルディーとパウロが本当の意味で再会したときに、

火の消えた蝋燭が映る。

終幕という意味で使っているのかなーと思った。

 

顔を見れない(17話)

17話での、パウロとルディーの会話シーン。

パウロの顔があまり映らず、パウロの口元や手元ばかりが映る。

ルディーが相手を見ずに、内に籠っていしまっていることを表していると思う。

 

俯瞰視点(17話)

17話での、パウロとルディーの会話シーン。

真上から見た俯瞰視点を多用している。

これによって、3つのことを表現していると思う。

1点目は、気まずさである。空気の悪さを演出している。

2点目は、ルディーの心が冷めてしまっている点である。

どうでもいい、とりあえず謝ればいいやという感情を演出した。

3点目は、二人の関係性を客観的に描いている点である。

我々は、マスターと同じ俯瞰した視点でこのシーンを見ることができる。

 

17話での会話シーンは、パウロの顔を見ないルディーの主観視点と、

俯瞰視点の絶妙なバランスが良いなと思った。

 

ノローグがないシーン(16話、17話)

ノローグの使い方が上手い。

16話のパウロとの言い合いでは、モノローグを多用した。

それは、ルディーが主観的に物事を見ていることを伝える意味があると思う。

16話のルディーが家に帰ってきた後のシーンは全くモノローグを使っていない。

これも客観的に見せる意図があるのだろう。

また、エリスがルディーをどう見たかが大事なシーンでもある。

よって、モノローグを使わなかった。

17話のパウロとの会話シーンでも、モノローグが殆ど無かった。

客観的に見せる意図と、冷めているルディーの心を見せる意図があったのだろう。

 

 

最後に

今回は物凄く濃密な回だった。

濃密すぎて、伝えたいことを整理しきれなかったかもしれません笑

原作既読ですが、正直次回はどういうストーリーなのか読めません。

次回も滅茶苦茶楽しみです!